特選
私に勇気をくれた鹿児島の海
(作文)

徳永 明日美

鹿児島県
鹿児島市立星峯西小学校

4年
「ブォォォ」すごいスピードでモーターボートが走る。小雨なのに顔にあたるといたいほどのスピードだ。向こうの方に何かおびのようにちがった波の部分が見える。
 あそこから向こうは流れが速くて川のように流れているから100mぐらいすぐに流されてしまうよ。ぜったいそこに行っちゃだめだよ。」とおじちゃんがいった。そのおびにだんだんと近づいてきた。そこにさしかかると、いきなりすごいいきおいでモーターボートがとび上がって水しぶきが顔にかかった。「ザポーン」すわっていたおしりもとび上がってドンと着地した。初めてのモーターボートはスリルまん点で青い海を走るレールのないジェットコースターのようだった。
 私たち家族は今年の夏、鹿児島に住むために愛知県から引越してきた。と中からの転校で、友達やクラスにすぐなじめるかとか、勉強の進み方がちがうのではとかいろいろ心配があった。その中で一番はやはり友達のことだった。これまで仲よくしていた友達と別れるのはとてもつらくさみしかった。まったく初めての鹿児島、私にとっては二学期が始まるまで不安だらけの毎日だった。どこにも行けずに夏休みも終わりに近くなったある日、おじちゃんがこの神瀬という所に知り合いにたのんでモーターボートでつれてきてくれたのだ。神瀬は桜島の横にある白い灯台のある小さな無人島だ。島といえるのかと思うほど小さなりく地だ。
 海の色は緑っぽく、すけていて下の砂がよく見えるくらいきれいだった。島に上がる時はモーターボートからおりて海の中をすこしだけ歩いた。さい初はなにもない砂の島だと思った。だけど何かいるのかもしれないとみんなでさがし始めた。おじちゃんが、三角の貝を石の下からとって
「この貝がおいしいからとって持って帰ろう。」と言ったので、兄二人と私の三人で石をひっくり返して貝をさがし始めた。石をひっくり返すと黒いミミズのようななんともいえない生き物がびっしりとならんでいた。ひっくり返した石にはりついているものもいてぶらさがっていた。先のほうには口のような部分があり、先たんは五、六本に分かれて吸ばんのようになっていてぺったりはりついていた。まるで宇宙から来た生物のようで、とても気もち悪かったが私はどんどんゆかいになって、海にすむおもしろい生物をさがすのにむ中になった。アメフラシもいた。それは、でっかいナメクジのような感じで黄色と黒のまだらもようになっている。背中いっぱいに二つに並んだヒラヒラがついていた。石でつついてみると、最初は体がゆらゆらゆれるだけだったが、三、四回目ぐらいに背中の二つのヒラヒラの間から、むらさき色のしるをけむりのようにはき出した。ラッパウニもたくさんいた。直径八cmぐらいで上から見ると丸いが横から見ると少し平ぺったい。ラッパみたいなプチプチしたものが表面についていて、その中には三つの小さなカギのようなものがあり、それできずをつけどくをそこから入れるそうだ。それを兄が知っていてさわらないように気をつけた。ぼうでひっくり返してみると、真ん中に口があり足がウニウニと動いていた。その動きがとてもおかしくてみんなで笑ってしまった。
 あっという間に夕方になり、しおがみちてきた。暗くなるとあぶないから帰る事になった。鹿児島に転校して来て初めて訪れた鹿児島の海、はげしい海、やさしい海、いろいろな顔を持つ海に、いろいろな生き物たちが力強く生きていた。そんな生き物を見ているうちに私の不安や心配がとてもちっぽけなものに思えてきた。「ようし、この新しい学校でがんばっていこう。」私の心に大きな勇気がわいてきた。
 新学期が始まり、あっという間にたくさんの友達ができた。みんなとても親切で明るくてそれがなによりもうれしかった。私に元気と勇気をくれた鹿児島の海、本当にありがとう。そして、これからもこの美しい海をずっと守っていこう、そう私は強くちかった。