2026年8月31日 朝日小学生新聞掲載

「グローバルネイチャーポジティブ・サミット2026」に参加

魚が元気に育つためには、海も元気でなければなりません。自然や生きものを守り、もっと豊かな環境を創り上げていく。それが「ネイチャーポジティブ」という考え方です。このネイチャーポジティブを推進する国際会議に、魚など海の恵みを食品にして、みなさんの食卓に届ける会社「ニッスイ」が参加。自然環境を大切にしながら、海でおいしい魚を育てる「養殖」の取り組みを紹介しました。

グローバル・ネイチャーポジティブ・サミットって?

グローバル・ネイチャーポジティブ・サミットは、世界中の企業や自治体、研究者などが集まり、いかに自然環境の破壊を食い止め、豊かな自然を取り戻すかを話し合う国際会議で、7月に熊本市で開催されました。

 期間中は、地球規模の環境課題に対する取り組みを紹介する展示イベント「NATURE TECH!」が同時開催され、ニッスイをはじめ、90を超える企業や団体がブースを出展しました。会場には地元の小学生も数多く訪れ、ブースで真剣に説明を聞いたり、体験型ワークショップに参加したりして、未来の環境について楽しみながら考える姿が見られました。

未来もおいしい魚を届けるために!

ニッスイのブースでは、海や漁業をめぐる課題と、その解決に向けた3つの挑戦を紹介しました。

 世界では魚を食べる人が増え、1人あたりが食べる量も多くなっています。一方で、天然の魚をとれる量には限りがあり、このままでは将来、私たちの食卓から魚が減ってしまうかもしれません。さらに、地球温暖化によって海水温が上がり、魚が育ちにくくなっていることも大きな問題です。海の恵みを食品にして、食卓に届けているニッスイは、こうした問題に向き合い、海の環境を守るため、さまざまな挑戦を続けています。

 ブースで紹介した1つ目の挑戦は「完全養殖」です。卵から育てた魚の卵を再び人の手で育て、次の世代へつなぐ養殖方法で、ニッスイはブリなどで実現しています。天然の魚に頼りすぎず、おいしい魚を届けることができます。2つ目の挑戦は、海や魚にやさしいえさの工夫です。食べ残しで海を汚さないよう、必要な量だけを与えています。えさに使う天然の魚をできるだけ減らして植物などの原料を使って、魚がおいしく元気に育つえさの研究を進めています。そして3つ目の挑戦は、「ハイテクいけす」。養殖では海面に浮かべたいけすの中で魚を育てることが多いですが、台風の強い波や暑すぎる海水温から魚を守るため、海に深く沈めることができる特別ないけすの導入を進めています。

 未来の食卓からおいしい魚をなくさないために私たちにできることは何だろう? ブースを訪れた地元の小学生たちは、ニッスイの担当者の話を聞きながら、身近な食卓の未来について、真剣な表情で考えていました。

展示パネル①
展示パネル②

展示パネル③

ニッスイブースの見どころQ&A

平田喜郎さん(株式会社ニッスイ中央研究所大分海洋研究センター)

 Q ブースでいちばん力を入れたところは?

A 生きたままの生物を展示したことです。水槽の中を泳ぐブリの赤ちゃんとバナメイエビは、スーパーではよく見かけても、生きている姿を見られるチャンスはめったにありません。そのため、水槽の周りには、興味津々でのぞきこむ子どもたちの姿が多く見られました。

Q 養殖の技術で、もっと知ってほしいことは何ですか?

A ニッスイでは、卵から育てた魚がまた卵を産み、それをまた育てていく「完全養殖」の技術に取り組んでいます。すでに何世代も続けられていることを紹介すると、驚いていた人がたくさんいましたね。

Q これから先、ニッスイが取り組んでいきたいことは?

A 今後は、えさもできるだけ天然の魚に頼らないようにしたいと考えています。それから、今は環境を見守ることが中心になっていますが、将来的には、ニッスイが養殖をすることでより強く自然に働きかけて、海にいろいろな生きものがすみやすくなる取り組みにつなげていきたいです。

Q 読者のみなさんに伝えたいことはありますか?

A  まずは魚をおいしく食べてもらいたいですね。そのうえで、その魚がどうやって届けられているのか、おいしく安全に育てるためにどんな工夫がされているのかにも、少し意識を向けてもらえたらうれしいですね。

アイデア宣言ボード

 ニッスイのブースを体験した子どもたちが、未来の海を守り、おいしい魚を食べ続けられるようにするためのアイデアや自分にできることを宣言ボードに書き込んでくれました。

ニッスイの研究者から学ぶ!海を守る「完全養殖」

 会場では、ニッスイの研究者によるワークショップが開かれました。魚や海にちなんだクイズや、ブリの稚魚の写真観察などを通して、子どもたちは海の未来について楽しく学びました。

 講師は、ニッスイが取り組むブリの完全養殖について紹介。養殖魚は品質が安定しているうえ、えさを工夫することでおいしい魚を育てやすいといったメリットがあるそうです。

 また、「海の環境をよくするために、自分たちにできること」を考える時間もありました。子どもたちからは、「海にごみを捨てない」「海の生きものを大切にする」など、さまざまな意見が出ました。

 最後に講師は、「少ないえさで大きく育ち、二酸化炭素の排出を抑え、病気にも強いブリを目指して研究を進めています。海にやさしい完全養殖を広げ、おいしいブリを多くの人に届けたいです」と、メッセージを伝えました。

 参加した子どもたちからは、「完全養殖のしくみがわかってよかった」「海の環境を守ることの大切さを感じた」「海の生きものについてもっと知りたくなった」といった感想が聞かれました。

大分海洋研究センター長の森島輝さん

参加した小学生の感想

●魚って、とても早く成長して大きくなるんだなと驚きました。環境を守ることの大切さも学び、特に自分はモノをなるべく捨てず、食べ物も残さないようにしたいと思いました。そのために、ごみになるモノをできるだけ外に持ち運ばないなど、自分にできることを考えていきたいです。

●海の環境について、しっかり学べました。自分ができることとして、海にはごみを捨てないように気をつけたいと思いました。これからは、海の中にどんな生きものが生活しているかをよく考えて、環境を大切にして海をもっときれいにしていきたいです。