2025年3月31日 朝日小学生新聞掲載

 完全養殖「黒瀬ぶり」をはじめ、ニッスイは新しい“食”を生み出し、みなさんの食卓に笑顔を届けています。その裏側には、海や魚、おいしさをとことん研究し、新しい発見を追い求めるたくさんの研究者がいます。

 小学生のみなさんにも、自分が好きなことを深めて、新しい発見や体験を通じて大きく成長してほしい―。そんな想いをこめて、ニッスイは「海とさかな」自由研究・作品コンクールを応援しています。

 今回はニッスイの研究施設の一つである、中央研究所大分海洋研究センターで「黒瀬ぶり」の研究に携わる研究者、飼育員3名にお話を伺いました。

好奇心を大切にどんどん挑戦しよう!

株式会社ニッスイ 中央研究所 大分海洋研究センター

 ニッスイが国内外で展開する養殖事業の研究開発を行うために1994年に設立された研究施設です。ここでは水産資源の持続可能性につながる、養殖に特化した研究開発を進めています。最先端の研究開発(基礎研究)から最前線の研究開発(事業への応用)まで幅広い課題に取り組んでいます。

株式会社ニッスイ 中央研究所 大分海洋研究センター

北川健斗さん

写真は「今までの研究で印象に残っていることは?」という質問への回答です。

普段のお仕事は? 
生けすで養殖する魚の健康管理をしています。魚が病気にならず、元気に育つようにする仕事で、中学生のころから学び続けた積み重ねが現在の仕事につながっています。

読者のみなさんにメッセージ!
「好きなことを仕事にできると本当に楽しい」と感じます。魚が好き、研究が好き――そんな共通点を持った仲間と一緒に働くと、毎日が刺激的です。好きなことがある人は、それを言葉で積極的に発信してみると、同じ気持ちを持った人とつながることができますよ。

枡野弘子さん

写真は「今までの研究で印象に残っていることは?」という質問への回答です。

普段のお仕事は?
未経験から研究の世界に飛び込みました。今では専門的な知識を活かして、ブリの赤ちゃんが元気に大きく成長するように、エサの量や水質、水温などを調整しながら見守っています。

読者のみなさんにメッセージ!
今はスマホやタブレットですぐに何でも調べられます。しかし、それだけに頼らず、実際に体験して五感をフルに使って、心が震えるような体験をしてほしいですね。

近﨑友亮さん

写真は「今までの研究で印象に残っていることは?」という質問への回答です。

普段のお仕事は?
ブリの品種改良の研究をしています。これは大きく育ちやすい、病気になりにくいなど、成長する上でより良い特徴をもった親の魚を選び、それを受けつぐ魚を育てることです。

読者のみなさんにメッセージ!
気になることがあったら、どんどん挑戦してください。自分で試して結果が出ると「楽しい」と思えるし、もっと深く知りたくなりますよね。そういう経験が増えていくと、自然と自分の好きなことも増えていくのではないでしょうか。

もっとおいしい養殖ブリを届けるために。正解のない問いに挑み続ける日々

【完全養殖とは】

 親魚から卵を採取してふ化させた稚魚を成魚に育て、そこから優れた親魚を選び、採卵・育成するという一連のサイクルをすべて人の管理下で行うことです。一般的なブリ養殖では天然の稚魚を採捕して育成しますが、「黒瀬ぶり」は採捕しないため、限りある水産資源への負担を低減します。

様々な分野の研究者がブリの養殖を支えている!

――魚の研究に興味をもったきっかけは?

近﨑 高校生のときに飼育していた熱帯魚のグッピーにはいろいろな種類がいて、組み合わせを工夫して繁殖させると、色や模様のちがう魚が生まれます。それがおもしろくて夢中になり、大学でも専門的に学びました。

北川 中学生のころ、新型インフルエンザが流行したことをきっかけに、感染症に興味をもちました。そこから細菌やウイルス、寄生虫の世界に関心が広がり、大学では二枚貝(カキ)の病気について研究しました。その経験が、今の仕事につながっています。

枡野 私は大分海洋研究センターで働き始めたことがきっかけで、養殖の研究に触れるようになりました。同僚の研究者からブリの生態などを教わるうちに、どんどんおもしろくなりました。今ではブリの赤ちゃんの飼育を子育てのように楽しんでいます。

海面いけす

正解がないからこそ研究はおもしろい!

――研究の面白さややりがい、研究を通して実現したいことなどをお聞かせください

枡野 ブリも生きものなので気分や体調によって、あまりエサを食べてくれないこともあります。少しずつ与えたり、エサをあげる間隔を工夫したりした結果、しっかりと食べてくれたときは大きなやりがいを感じますね。もともと魚が苦手だった私の子どもは、「黒瀬ぶり」の味に感動して大の魚好きになりました。そういう体験を、もっと多くの人に届けたいです。

北川 研究の世界には「正解」がなく、新しい答えを求めてチャレンジできるのが一番のおもしろさですね。研究のおかげで元気に育った魚が生き生きと海を泳ぐ姿を見ると、本当に感動します! これからも「黒瀬ぶり」の魅力を広めながら、持続可能な養殖環境をつくっていきたいです。

近﨑 ブリの品種改良の研究は、養殖会社で働いている方から困っていることを聞き、それを解決する方法を考える、という流れで進めます。つねに養殖の現場と近い環境で研究できるのが楽しいですね。研究は未知への挑戦の連続なので、「誰でもヒーローになれるチャンスがある」分野だと感じます。季節を問わず、おいしいブリを食卓に届け、より多くの人が気軽に魚を楽しめる未来を実現していきたいですね。

毎年全国の小学校で出張授業を実施しています

海やさかなの不思議を学び、新しい発見を楽しもう!

 「海とさかな」自由研究・作品コンクールを応援するニッスイでは、全国の小学校を対象に、オンライン出張授業を実施しています。ニッスイの研究者も講師となり、学校の授業とはひと味違う視点から、海やさかなの不思議や魅力を伝え、子どもたちの探究心を育み、新たな発見や学びのきっかけになる場となっています。

 2025年度も、全国の小学校をつなぐオンライン授業などを企画しています。たくさんのご参加をお待ちしています!