朝日小学生新聞掲載(2021年8月19日)

オンライン出張授業開催!

「海」や「さかな」をテーマに作品を募集している「海とさかな」自由研究・作品コンクール(朝日学生新聞社 主催、日本水産 協賛)。子どもたちに海や魚の不思議を学んでもらおうと、3校でオンラインによる出張授業を行い、合計502名の小学生が参加しました。

クラゲはエサをどうやって食べる?
逗子市立逗子小学校(神奈川県逗子市)
三宅 裕志 先生(日本水産学会/北里大学海洋生命科学部 准教授)

「みなさんが知っているクラゲの絵を描いてみてください」と三宅先生の呼びかけで授業が始まると、色鮮やかなクラゲや優雅に泳ぐクラゲなど、画用紙へ思い思いのクラゲが描かれました。
 次に自分が描いたクラゲと本物のクラゲの違いを学びます。スクリーンには三宅先生の研究室で飼っているクラゲが映し出され、エサをとったり、身を守ったりするときに毒針を使うクラゲと毒針を使わないクラゲがいることなど、クラゲの種類やからだの仕組みについて教わりました。
 次に本物のクラゲが、どのようにエサを食べるのかを観察。エサとなるエビの赤ちゃんを与えると、クラゲはカサのまわりにたくさん生えている触手でエビをつかまえて、口腕と呼ばれる器官でエサを口に運ぶと三宅先生は説明。
 授業の最後には、学んだことを思い出してもう一度クラゲの絵をスケッチ。授業の冒頭よりもしっかりと絵を描くことができました。

深海魚はなぜふしぎなかたちなんだろう?
アサンプション国際小学校(大阪府箕面市)
三輪 哲也 先生(国立研究開発法人海洋研究開発機構/JAMSTEC)

 アサンプション国際小学校では、深海の世界をテーマに学習しました。講師の三輪先生は、水深200mより深い海はすべて深海と呼ばれ、海の約95%が深海であることを説明しました。その暗く広い深海の世界で、魚たちはどのように生きているか。
 ナガヅエエソ=写真下は、腹ビレと尾ビレが約1mもあり、足のように長いヒレで海底に立ちます。その理由は潮の流れが弱くエサが流れてこない海底付近よりも、少しでも海面に近い方がエサがたくさん流れてくるからです。他にも生き延びるために、不思議な進化を遂げた深海魚が多くいます。逆光を利用して太陽に隠れる忍者のように、お腹を光らせて海底の敵から身を守る深海魚、一方でお腹の光にだまされないように目が大きく進化した深海魚。
 「生き物のかたちには必ず理由があります。深海魚の不思議なかたちから、どうしてそんなかたちになったのか考えてみてください」と、三輪先生は問いかけました。

みんなが食べる魚はどこからやってくる?
高崎市立金古小学校(群馬県高崎市)
今川 恵 先生(国立研究開発法人 水産研究・教育機構)

人気の寿司ネタはどこから来るのだろう?金古小学校では、そんな疑問を解決する授業を行いました。今川先生は、日本近海で魚をとる方法のひとつとして定置網漁業について解説しました。定置網は、大きな網でできた漁具を海の中に固定します。奥の網は魚が入りやすく出て行きにくい形をしていて、逃げられなくなった魚を船に引き上げます。漁港で水揚げされた網にはアジやトビウオ、スルメイカなどたくさんの魚が入っていました。市場では競りが行われ、スーパーマーケットや魚屋などを通じて家庭に届きます。
 「みんなが食べている魚の中には、海外の海から来た魚もいます」と今川先生。日本では水揚げされる魚が少量多品種のため、寿司屋で人気のサーモンやエビなど、たくさん食べられる魚は輸入に頼っています。「自分たちが食べている魚はどこから来ているのか、魚の産地を確認するなど意識的にしてみてください」と、今川先生は普段からできる身近な魚の調べ方を教えました。