2022年8月31日 朝日小学生新聞掲載

「海」や「さかな」をテーマとした研究や創作の作品を募集している「海とさかな」自由研究・作品コンクール。
みなさんの作品づくりのヒントになるように2つのオンライン体験学習が7月に開催されました。授業の様子を紹介します。

川の生き物から海の環境を考えよう

講師:平川知弥さん(北九州市環境ミュージアム)

「みなさんの知らない生き物が、知らない間に絶滅しているかもしれません」と話すのは、北九州市環境ミュージアムの平川知弥さん。「カマキリ」「オヤニラミ」というユーモラスな名前を持つ2種類の川魚も絶滅が心配される「絶滅危惧種」で、その背景には環境の変化や汚染、乱獲などの問題があると指摘。「山に降る雨は川を流れて海に注ぎこむため、海と川の環境は一緒に考えてほしい」と、環境全体を守るための大切な視点を示しました。

絶滅危惧種のカマキリ


 次に、一人ひとりが環境に対してできることを考えるため、1960年代に「死の海」と呼ばれるほど汚れた北九州市の洞海湾が、きれいな海へとよみがえったケースを紹介。市民の思いを支えとして約30年で環境が改善したことを説明すると、チャットには驚きの声が寄せられました。

オヤニラミは北九州環境ミュージアムで展示中

<作品づくりのヒント>

 実際に海や川に出かけて自然体験を楽しむと、新たな興味が生まれて自分ができることを考える機会になります。

海の中に降り注ぐ光の色彩を表現

講師:藤井ひとみさん(ルーブル美術館フランス国立修復美術研究所)

フランス・パリのルーブル美術館の修復美術研究所で研究員として働く色彩アーティストの藤井ひとみさんは、海の中に降り注ぐ光の色彩を表現するワークショップを行いました。

それぞれの海の世界を発表

 「海の生き物は、光が当たることで色彩を多様に変化させています」と藤井さん。最初に画用紙を準備。親指ほどの太さの幅で手前から山折り・谷折りを繰り返しました。色塗りでは、画用紙の2面を開いて片面ずつ異なる色を塗り、折り目を閉じる作業を繰り返しました。全ての面を塗り終え、画用紙を開くと、色とりどりのサンゴ礁をイメージした作品など、参加者の想像力から生み出された海の中の世界が現れました。

 続いてハサミを使い、自由な発想で海の生き物の形に切り取ると……熱帯魚やサメ、クラゲ、サンゴ、海藻など、さまざまな生き物が美しいアート作品として表現されました。

自分だけの色を使った生き物が完成

<作品づくりのヒント>

 作品を別の画用紙にはったり、ここから発想を広げて絵を描いたり、自分だけの海を表現してみましょう。